調達
基本的な考え方・方針
顧客に安心して使っていただける製品を提供するためには、良質で価格競争力のある材料の安定調達を可能とするサプライチェーンの構築が不可欠です。
当社グループでは、公正かつ公平で透明性の高い取引を通じてサプライヤーと長期的な信頼関係を構築し、サプライチェーン全体で持続可能な成長を実現できるよう、資源・環境・人権に配慮した調達活動を推進します。
なお、サプライチェーン全体において責任ある調達を推進するため、「長谷川香料グループ調達方針」「長谷川香料グループ・サプライヤーガイドライン」を制定しています。既存のサプライヤーにサプライヤーガイドラインへの同意書の提出を求めるとともに、新規サプライヤーに対しても、取引開始時に同意書の提出を要請しています。
調達の考え方・方針
長谷川香料グループ調達方針
- 法令遵守・倫理的な取引
各国・各地域における法令・社会規範を遵守し、サプライヤーとともに高い倫理観と社会的良識をもった調達活動を推進します。 - 人権への配慮
いかなる場合においても人権を尊重し、一切の差別を行わないようサプライチェーン全体において人権侵害につながるような活動を行わないように努めます。 - 地球環境への配慮
全てのサプライヤーとともに環境負荷の低減を意識し、地球環境保全に配慮した持続可能な調達活動を行います。 - サプライヤーとの相互信頼と共存・共栄
公正かつ公平な競争原則のもと相互信頼をベースに相手の立場を尊重し、サプライヤーを含む全てのビジネスパートナーと共存・共栄を図ります。 - 安全・安心とカスタマーサクセス
顧客さらにはその先の消費者に安全で良質な製品を提供することにより、カスタマーサクセス及び安全・安心の実現を目指した調達活動を行います。
長谷川香料グループのサプライヤーガイドライン
詳細は「長谷川香料グループのサプライヤーガイドライン」(PDF)をご確認ください。
関連方針
ガバナンス・リスク管理
原料調達は主に調達部が推進します。また、代表取締役会長(CEO)を委員長とし、取締役をメンバーに含むグループ会社の横断的な組織であるリスク管理委員会において調達に関するリスクの管理・検証を行います。その際、調達部が調達に関するリスクを収集し、リスク管理委員会に報告しています。
なお、当社グループでは、化学メーカー、同業の香料メーカー、食品添加物メーカー、食品メーカー、商社、委託製造業者、副資材メーカーと取引を行っています。
2023年度に当社単体で取引のあったサプライヤーの総数は約400社で、仕入品目の総数は3,100品に上ります。主な内訳は香料原料(天然香料、合成香料)と食品、食品添加物であり、その比率は半々となっています。輸入品と国内調達の比率は35:65となっており、各サプライヤーの所在地は国内、中国、米国、EU、英国、インド、ブラジル、アルゼンチン等世界各国にわたります。少量多品種であり、比較的単価の高い原料を扱っていることが特徴です。
戦略
事業機会の増大
- 海外での現地調達・現地生産
施策
- グローバルな原料調達の実践
- 代替原料の調査、開発
- サプライヤーへのサステナビリティ調査と支援
サプライヤーアセスメントの実施
当社グループは、責任ある調達の推進に向け、「人権」「労働」「環境」「公正な企業活動」「品質・安全性」「情報セキュリティ」「サプライチェーン」「地域社会」「コーポレート・ガバナンス」等に関するサプライヤーアセスメントを実施しています。また、新規取引の際には、「長谷川香料グループ・サプライヤーガイドライン」への同意書への署名を求めると同時に、CSR調達セルフ・アセスメント・ツールを通じた調査を実施し、サプライヤーアセスメントを行っています。
2023年度の調査
調査形式
CSR調達セルフ・アセスメント・ツールを活用したアンケート形式
対象
全サプライヤー約400社のうち、仕入金額上位169社のサプライヤーが対象
回答率
93%(回答社数157社/調査対象169社)
157社の回答結果(得点率)
回答状況を踏まえた傾向等の分析
- コーポレート・ガバナンスの得点が高いサプライヤーはCSR推進体制の構築が充実しており、全体的に得点が高い傾向にあります。
- CSR推進体制が整っていない場合でも、品質、安全性については各社とも概ね得点が高く、整備が進んでいると見られます。
- 比較的高得点のサプライヤーであっても、人権、サプライチェーンの得点の低いサプライヤーが見受けられることから、ある程度CSRの整備されている会社であっても、人権とサプライチェーン管理が今後の課題となっていると見られます。
なお、アンケート結果からは、環境の項目で著しいリスクのあるサプライヤー、児童労働事例・強制労働事例に関して著しいリスクがあるサプライヤー、結社の自由や団体交渉の権利がリスクにさらされる可能性のあるサプライヤーはないと認識しています。
サプライヤー監査の実施
当社グループは、いくつかのサプライヤーに対して、製品安全や品質に関する現地監査をこれまで継続的に実施していますが、監査の際には環境や人権、労働安全等社会に関する確認も併せて行っています。環境や社会の項目に関して違反に該当する問題は発生していないと認識しています。問題があった場合は、追加の監査を行い原因を追究し、是正措置計画の提出を求めて、対応が完了するまでフォローします。
今後に向けて
サプライヤーアセスメントをさらに進め、調査結果に基づく課題を抽出して、サプライヤーと課題解決に向けて協働することで、サプライヤーとの関係性をより強固にして、サステナビリティ調達を推進します。
- サプライヤーへの「長谷川香料グループ・サプライヤーガイドライン」の共有を継続します。
- サプライチェーンを構成するサプライヤーに対し、サステナビリティの推進を継続して依頼します。
- グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンによるCSR調達セルフ・アセスメント・ツールを活用し、サプライヤーへの回答依頼を継続します。
- 海外子会社に現地サプライヤーへのアセスメントの実施を依頼し、国内外のサプライヤーとの対話を推進します。
調達に関する教育
当社では、「長谷川香料企業行動規範」、「長谷川香料グループ調達方針」、「長谷川香料グループ・サプライヤーガイドライン」の浸透を目的に、調達部門のメンバーに対して、定期的に研修会を実施しています。
サプライヤーとのエンゲージメント
当社グループの責任ある調達に関する考え方をサプライヤーに理解し実践してもらうため、「長谷川香料グループ調達方針」や「長谷川香料グループ・サプライヤーガイドライン」の周知に努めています。具体的には、新規サプライヤーや既存サプライヤーに対して、「長谷川香料グループ・サプライヤーガイドライン」への同意書への署名を求めています。こうした取り組みを通じて、サプライヤーによる環境面・社会面への負の影響を低減することに努めています。
認証を受けた原料の調達
JGAP(Japan Good Agricultural Practices)認証、ASIAGAP認証、レインフォレスト・アライアンス認証農場より原料の一部購入を実施しています。
シソオイルの調達
当社は国内の特徴ある香料原料の利用を積極的に推進し、日本特有の風味の開発に挑戦しています。その一つの重要な香料原料であるシソオイルの調達のために、下記の通り、生産組合と連携を図り、品質・数量の安定的な生産と事業継続のための支援を行っています。
種の提供
品質の安定・収量の安定を目的に、毎年生産者に種を提供しています。また種苗メーカーの協力のもと、生産地の状況確認を行っています。
技術支援
生産性向上のために、当社より研究員・技術員を派遣し、製法改良、装置改修の助言・支援を行っています。※
品質向上支援
生産組合だけでは習得の難しい品質検査の方法について、研究員を派遣し教育・支援を行っています。
包材等の支給
生産組合に充填容器、包装資材を提供しています。
事業継続
生産者の収益が安定するよう、栽培面積を大きく増減させることなく複数年先を見据えた計画的な調達を推進しています。
※シソオイル採油設備の老朽化に伴う改修時、生産組合では設備の評価・設計が難しい面もあることから、当社より設備担当者及び設備業者を派遣し、2021年に改修を実施しました。
指標・目標
当社グループでは、サプライヤーアセスメントに関する目標を定め、サプライチェーンマネジメントの高度化に取り組んでいます。
詳細は「長谷川香料グループ ESGデータブック(PDF)」をご確認ください。