現在の仕事の内容は?

フレーバー営業部は、飲料や菓子などの食品に付加価値を与える香料を、お客さまである食品メーカーに提案・販売する部署です。私は現在、大手飲料会社1社をほぼ専属で任されており、炭酸飲料、果汁飲料、お茶、コーヒーなど、さまざまな部門を訪問しています。私の場合は1社に集中していますが、さまざまな業界・業種の会社を担当する人もいます。
入社する前は、営業職は外回り、つまりお客さまとの交渉がメインの仕事だと思っていました。実際は、お客さまとのやりとりのなかで得られた情報や、要望などをフレーバリストに伝えることも重要な仕事なので、研究所に足を運ぶことも多いですね。また、香料の採用が決まった後は、製造部門のスタッフとの製造スケジュール調整、在庫管理や納期調整等も営業の仕事です。
香料ができあがる前の提案から、お得意先さまの手元に香料が届くまで、ものづくりの全工程を見届ける役割を担っています。

どんなところにやりがいがある?

香りは、目に見えない存在です。また、同じ香りでも、一人ひとり感じ方も違えば、表現の方法も異なります。だからこそ、伝え方一つ、解釈一つで、まったく違う香料ができあがる可能性がある。そこが何よりこの仕事の難しさでもあり、面白さでもあります。
お客さまに言われたことをそのまま研究部門に流すだけでも、仕事は進んでいくのかもしれません。しかし、それでは誰がやっても同じになります。私はやはり、自分ならではの仕事をしたいと思っています。お客さまが発したキーワードを噛み砕き、これまでの経験をもとに商品開発の背景や狙いなども私なりに解釈し、提案した時の反応までシミュレーションしてみる。その結果、研究部門に協力を仰いで、お客さまからの要望の、もう一歩先をいくものを作ってもらうこともあります。もちろんすべての提案が成功する訳ではありませんが、シミュレーション通りにピタリとはまった時には、心の中でいつもガッツポーズです。

自分の成長を感じた瞬間は?

この仕事に慣れてきて、面白さも実感し始めてきた頃のことです。油断もあったのでしょう。お得意先さまから突然「申し訳ないけれど、いつもお願いしていたあの香料は他社のものに切り替えることにしたんだ」という言葉を聞かされたことがありました。かなり大きな案件だったこともあり、予想もしていなかった事態に頭の中は真っ白になりました。
すぐさま上司にも相談をしました。何をどうしたらいいのかわからなくなっていた私に、上司は叱るのではなく、「とにかくあきらめるな」と。あの時もっと何か出来る事があったのではないかと反省するよりも、今できることを考えてとにかくやるんだと声をかけてくれたのです。
そこからは、部の仲間はもちろん研究所のチームの協力の基、ひたすら情報収集と提案を繰り返しました。結果として、なんとか他社品への切り替えを覆すことができたのですが、これは本当に辛い経験でしたし、同時に自分を成長させてくれたと思っています。
学んだことは、2つ。起きてしまったことは変えられないが、未来は自分の努力で変えられる。あきらめずに、できることを納得するまでやることの大切さ。そして、失敗しても仲間たちがサポートをしてくれる、安心して挑戦できる恵まれた環境に自分がいるんだと気づいたことです。

今後、会社でやりたいことは?

香りのプロとして、当社のマーケティング部とも連携しながら、ターゲットニーズや市場動向調査、新市場への提案など、もっと幅広い視点で仕事を広げていきたいと思っています。
これまでは、メーカーの研究開発部門からの具体的なオーダーに応えるということが主な業務でしたが、最近では、マーケティング部門へアプローチすることも増えています。メーカーのマーケティング部門は、どんなターゲット、市場を狙っていくべきか、どんな商品コンセプトを打ち出していくべきか、などを立案する部署です。
この部署にアプローチすることで、お客さまの商品開発の川上から携われるチャンスが掴めることになり、香料採用の幅も広がると考えます。従来よりも営業の活動の幅が広がることは、会社にとってのチャンスが広がることでもありますから。
国内だけでなく、国際関係の業務のサポートにももっと携わっていきたいです。お客さまが自社製品を輸出するというケースには、私たち国内営業が日本国内で情報を集め、当社の国際部と共有し仕事を進めることがあります。国内納品とは異なるスキームに触れられるのも面白さの一つと感じます。

また後輩指導についても、自分なりに出来る事を模索していきたいですね。これまで数々の諸先輩方にご指導いただき今の自分があります。
今度は自分がその役目になる時が来たと最近良く思います。
会社の資産は「人財」と教えられてきていますので、直属の部下は勿論ですが同年代の繋がりを強くすることで、日々の業務トラブルや悩みを相談する相手を増やしていけると考えています。直近では若手の勉強会を定期的に開催し、情報をシェアしています。この想いを自分の次の世代に引き継いでいきたいです。