フレーバー官能評価/生理応答計測香気分析

食べているときの

レトロネーザルアロマの

変化の見える化

~官能評価データと

機器分析データの活用~

食品の製品開発において、香りの機器分析データと官能評価データの関連を探索するニーズが高まっています。とくに、飲料や食品を飲みこんだ際に喉から鼻に抜ける香りレトロネーザルアロマ(Retronasal Aroma)は、実際に飲食中に感じられる風味であり、美味しさと密接に関わることからその把握に注目が集まっています。

 

 そこで、当社では、食品の飲食中のレトロネーザルアロマの継時的な風味変化について官能評価と香気の機器分析データとの関係を客観的に把握するため、グミを用い、時系列官能評価手法として単一の感覚強度を測定できるTI(Time-Intensity)法 、複数の感覚属性を評価できるTDS(Temporal Dominance of Sensations)法、複数の感覚属性を同時に測定できるTCATA(Temporal Check-All-That-Apply)法の3つの官能評価手法で得られた結果と、機器分析として吸着剤を用いたレトロネーザルアロマのGC-MS分析との関係を検証しました。

 その結果、機器分析の結果と官能評価の結果との関連性が見出されました。また、香気成分の変化量をリアルタイムに計測可能なPTR-MS分析を用いて、ヒトの官能評価と当社で開発した人工咀嚼機を用いたレトロネーザルアロマのフレーバーリリースの測定結果との関連も見出すことができました。

 今回のレトロネーザルアロマのフレーバーリリースの変化に着目して得られた知見は、現在、旬の果実等、本物の食品を食べているときに感じられる風味をリアルに再現したタイプのフレーバー開発に活用されています。

この研究成果は2018年9月11日に開催された日本食品分析学会平成30年度学術集会食品分析シンポジウム(東洋大学 白山キャンパス/東京)にて講演を行いました。

日本食品分析学会平成30年度学術集会食品分析シンポジウム(東京)
発表タイトル 美味しい香りを求めて~官能評価と香気分析による咀嚼中のレトロネーザルアロマの見える化(発表者 大森雄一郎)