フレーバー官能評価/生理応答計測AVV®(香りの見える化)香気分析

消費者の併買行動と香気成分を組み合わせた新たなフードペアリングのアプローチ

昨今、食品、飲料のマーケティング、商品開発は複雑化し、大きなムーブメントを作ることが難しくなっています。特に、生活者それぞれの風味嗜好が、商品の購買決定に大きく影響を及ぼしていると考えられ、嗜好性を深く把握することが、消費者の購買行動を理解する上で、より重要になっています。

本研究では、まず、購買データによる期間併買分析を行い、消費者の習慣的な購買行動を見出しました。具体的には、「マリアージュ」や「ペアリング」として食事との相性が語られる「赤ワイン」と「白ワイン」のヘビーユーザーを対象に、アソシエーション分析ツール『gOLAP』(graph Online Analytical Processing)を用い、特定食品との併買関係を把握しました。そして、共通香気成分があることで、2つの食品の相性が良いとする『フードペアリング理論』の考え方を元に、各ワインと併買関係にある食品が、共通に持つ香気成分を明らかにしました。

この結果、消費者の購買行動が、共通の香気成分を持つ食品や飲料と関連していることが明らかとなり、共通の香気成分に焦点を当てた好みの理解と、それに基づく製品開発の可能性が示唆されました。今後、より詳細な分析を通じ、弊社独自のフードペアリング理論の新たな解釈を構築したいと考えています。


【学会発表】

この研究成果は2023年10月29日に開催された日本マーケティング学会 マーケティングカンファレンス2023(会場:法政大学 市ヶ谷キャンパス/東京都)にて「ワインの併買分析と風味分析による消費者の味の好みに関する考察~香りでつながるワインと食べ物の意外な関係~」の演題でポスター発表を行いました。

本研究は、専修大学中原孝信教授との共同研究として行われました。また、中央大学松下光司教授による研究協力を受けています。