フレーバー香気分析

飲料中における柑橘精油由来

香気成分の経時変化の把握

 飲料に広く使用されている柑橘精油の一部の香気成分は、飲料中で他の化合物に変わることにより風味に影響を与えるため、柑橘精油由来の香気成分の変化を制御することが、柑橘系飲料の課題として挙げられます。本研究では、香気成分の変化を把握することを目的として、3種類の柑橘系精油(Lemon cold pressed oil、Orange cold pressed oil、Lime distillated oil)について、4種類の炭酸飲料(無糖無酸、無糖有酸、糖酸、5%アルコール)に保存した際の香りの経時変化について調べました。

 GC分析の結果、飲料ごとで香気成分の変化には顕著な差はなかったものの、3種類の柑橘系精油の間で増加・減少の程度に差が見られました(詳細は掲載情報をご覧ください)。興味深い点として、柑橘に特徴的なフローラル調のLinaloolは、Lemonではわずかに増加しましたが、OrangeとLimeでは減少するなど、精油ごとに増減の違いが見られました。この違いは、Linalool以外のLemon、Orange、Lime精油の香気成分の違いによるものと推測され、特にLemonにおいて存在量の多いNeryl acetateが増減様式の違いに寄与していることが示唆されました。


【学会発表】
この研究成果は2024年3月17-21日に開催されたACS Spring 2024 (会場:New Orleans Ernest N. Morial Convention Center/New Orleans, Louisiana)でポスター発表を行いました。

 

【掲載情報】
「Research on changes in aroma components derived from citrus essential oils in beverages by time passing」
https://doi.org/10.1021/scimeetings.4c10513