フレーバー香気分析

レモン精油より

トロピカルフルーツ様の

新規香気成分を同定

 レモンは、世界中の老若男女に愛される香りを有しており、その特徴的な香気を解明すべくこれまでに多くの香気成分分析が行われていますが、いまだ未知の香気成分は多く存在しています。

 本研究では、新規香気成分の探索を目的に、イタリア産レモン精油の香気分析を行いました。GC-Oの結果、neralと同じ箇所に、未知のトロピカルフルーツ様香気が存在することが分かりました。解明に向けて、含硫黄化合物の選択的抽出法を行うことでマススペクトルの取得に成功し、構造解析を行った結果、トロピカルフルーツ様香気成分は3-mercapto-3-methylpentyl acetateであると同定しました。3-mercapto-3-methylpentyl acetateはこれまで報告例のない新規の化合物です。

 香料としての有用性を確認すべく、官能評価を行った結果、レモン飲料への添加によって、「レモン感」「ボディ感」「果汁感」「果皮感」を向上させる効果があることが分かり、香料素材として有用な成分であることが分かりました。


【学会発表】

この研究成果は2022年3月15日~18日に開催された日本農芸化学会2022年度大会(オンライン開催)で「レモン精油からのトロピカルフルーツ様香気成分3-mercapto-3-methylpentyl acetateの同定」の題名で口頭発表を行いました。