フレーバー官能評価/生理応答計測AVV®(香りの見える化)

香りのコミュニケーションにおける色の活用②

~香りイメージが「色のトーン」で共有できる可能性~

 私たちは言葉だけでは難しい香りの表現を「色」で補う可能性を検討しています。

 本研究では香りを色や言葉で表現することについて、「調香師」と「大学生」を比較しました。

 調香師と大学生では、香りの知識や表現経験が異なると考えられますが、香りを言語的、色彩的に表現する傾向は大きな差異がありませんでした。しかし、表現に関しては、大学生よりも香りに対する知識や表現経験が豊富な調香師の方が、言葉や色み(色相)に関して表現のバラツキが少ない傾向が認められました。一方で「色のトーン」による香りの表現では両者の統計学的なバラツキの差は小さく、香りに関する知識や表現経験を受けにくいことが考えられます。

 このことから「色のトーン」は専門性を問わず、香りイメージを共有しやすいと考えられ、香りのコミュニケーションを深める上で重要な役割を担う可能性が示唆されました。

 

※備考:PCCS表色系では、色を1.色み、2.あかるさ、3.あざやかさの3つの属性で表します。

    トーンとは2.3.を組み合わせて色を表現する概念です。

 

関連研究

色彩を用いた香りの分類 ~香りは言葉を用いても色を用いても同様に分類できる~(第53回味と匂学会)

香りのコミュニケーションにおける色の活用~色は香りの印象を反映し、香りを非言語的に表現できる~(第54回味と匂学会)

【学会発表】
この研究成果は2021年9月22~24日に開催された日本味と匂学会第55回大会(会場:九州大学医学部百年講堂 又は オンライン/福岡県)でポスター発表を行いました。本研究は、早稲田大学と共同で行いました。