コーヒーより見出したフラン酸について研究を行い、フレーバー素材としての有用性を確認
コーヒーの不明重要香気成分を解明し、フレーバー素材として活用することにより、コーヒー商品のおいしさへ貢献することを目的に研究を行いました。
コーヒー抽出液より調製した香気濃縮物についてGCにおいかぎを行った結果、「cinnamic」もしくは「sweaty」な特徴を有する興味深い香気を3箇所より検知し、得られたマススペクトルを解析することで、3-(2-furyl)propionic acid(以降、FPAと記載), 3-(5-methyl-2-furyl)propionic acid, 2-(5-methyl-2-furyl)acetic acidを同定しました。それら3成分のうち、最も高い香気強度で検知したFPAについて詳細に研究を進めました。
FPAは既知化合物であり、アセロラやオニグルミから検出された例は報告されていますが、コーヒーから検出した報告は本研究が初めてです。無糖ブラックコーヒーに対しFPAを5ppb添加することで、「甘い香り」、「焙煎感」、「コーヒー感」、「ボディ感、コク」、「ミドル~ラストのボリューム」、「余韻」のスコアが有意に向上することを確認しました。また、有糖ミルクコーヒーに対しFPAを5ppb添加することで、「甘い香り」、「ミルク感」、「油脂・乳脂感」、「練乳感」、「ボディ感・コク」、「ミドル~ラストのボリューム」、「余韻」のスコアが有意に向上することを確認しました。
FPA等を活用することで新規なコーヒーフレーバーを開発し、コーヒー商品のおいしさへ貢献できると考えています。
【学会発表】
この研究成果は2024年10月26-28日に開催された第68回香料・テルペン及び精油化学に関する討論会
(会場:信州大学伊那キャンパス/長野県)で口頭発表を行いました。