フレーバー官能評価/生理応答計測香気分析

ダージリン紅茶の

マスカット香に

寄与する成分の

同定と定量

  ダージリン紅茶は数ある紅茶の中でも特有のマスカット香を示すことが知られています。ダージリン紅茶の香気に関する研究は多数報告されていますが、その特有なマスカット香に関しては、報告されている成分のみでは再現が困難であり、いまだに見出されていない成分が存在しているものと考えられました。本研究では、ダージリン紅茶のマスカット香に寄与する成分の探索を目的とし、香気分析を行いました。

この研究成果は2021年5月4~6日に開催された16th Weurman Flavour Research Symposium(会場:オンライン開催)でポスター発表を行いました。

 ダージリン紅茶より調製した紅茶抽出液について詳細な分析を実施した結果、マスカットを想起させる香気を有する成分が存在することをつきとめ、その成分を4-methylene-2-(2-methylprop-1-enyl)oxane(dehydrorose oxide, DHRO)と同定することができました。DHROはキク科の花に含まれる既知成分でしたが、ダージリン紅茶よりDHROを検出した例は本研究がはじめてです。また、当社の分析によって、DHROはコーヒー、ライチ、ホップ中にも存在することが明らかとなりました。

 Stable Isotope Dilution Assay(SIDA)法  による定量分析を行った結果、ダージリン紅茶中のDHROの濃度は0.028 µg/kgであることがわかりました。ダージリン紅茶の香気再構築液(報告されているダージリン紅茶の重要香気成分21品を定量値にて水中に混合したもの)を調製し、定量値にてDHROを加えた際の添加効果を官能評価によって確認しました。その結果、DHROを添加することにより、ダージリン紅茶に感じる、マスカット・フローラル・フルーティ・グリーンといった特徴が有意に向上することがわかりました。よって、本研究にて見出したDHROはダージリン紅茶の特徴香気に寄与している成分であることが明らかとなりました。