官能評価/生理応答計測AVV®(香りの見える化)

食シーンにおける

感性価値

-「おいしさ」の可視化-

食事は、食物を口に入れる前の食前シーンから、口の中で咀嚼や風味チェックを行い嚥下するシーンを経て、完全に嚥下した後に余韻を楽しむシーンへと展開します。また、食前シーンでは視覚や嗅覚の情報、食物が口に入った後は味覚、嗅覚、触覚等の情報が脳へ送られるといったように、脳へ入る食物からの感覚情報は食シーン展開と密接に関連して変化します。では、「おいしさ感」や「満足感」等の感情も、シーン展開と関連して移り変わるのでしょうか?本研究では時系列官能評価法を応用し、「おいしさ感」等の感情生起のタイミングを高解像度で表示するシステムを開発しました。また、感情生起と連動することが知られている心拍や呼吸等の自律機能変化を同時に計測し、食シーンごとの感情生起と自律機能変化との関係を調べました。その結果、各食シーンにおける自律機能変化を捉え、「おいしい」等の感情がどのタイミングで出現するかを捉えることに成功しました。

本研究により、「おいしさ感」や「満足感」等の食事に伴う感情の出現を、心拍などの自律機能測定と時系列官能評価の同時計測によりモニターする系を確立しました。この評価系は飲食品のフレーバー開発に有用であり、「おいしさ感」を引き起こす飲食品の開発や、おいしく調理する方法の開発等、広く応用可能であると考えています。

この研究成果は2018年および2019年に開催された日本味と匂学会第52回大会、第53回大会に続き、2020年10月19~23日に開催された同学会の第54回大会にてオンライン口頭発表を行いました。本研究は、東京大学と共同で行いました。