フレーバー香気分析

シクロデキストリン

に包接したl-menthol

の構造解析に成功

 シクロデキストリン(CD)は、グルコースを構成単位とする環状オリゴ糖で、環のサイズによってα、β、γ-CDと呼ばれています。この分子は、外側が親水性、内側が疎水性とユニークな物性をもち、その内腔にさまざまな分子を包み込んだり(包接)、放出したり(徐放)することができます。そのため、食品、医薬品、香粧品など様々な分野の製品に使用されています。

 l-mentholはβ-CDおよびγ-CDに包接しやすいことが知られており、内腔が狭いα-CDには包接が難しいとされてきました。しかし、今回、α-CDにもl-mentholが包接することを偶然発見し、どのように包接しているかを調べるため、固体NMRおよびVCD(Vibrational Circular Dichroism)を用いて測定を行いました。その結果、l-mentholは内腔が狭いα-CDにフィットするように構造を歪ませ、包接していることがわかりました。

 本研究は、横浜国立大学 川村 出准教授との共同で行いました。

この研究成果は日本分析化学会の英文誌Analytical Sciences、2020, 36(11), p.1337-1343 に、「Structural Characterization of a Cyclodextrin/l-menthol Inclusion Complex in the Solid-state by Solid-state NMR and Vibrational Circular Dichroism」の題名で論文が掲載されました。