香気分析

大豆タンパクの

特徴香気成分を解明

 近年、宗教上の理由に限らず、ヴィーガン志向や健康志向の高まり、食品アレルギーの問題などから、植物由来のタンパク質より作られる代替肉の市場は急速に拡大しています。それらの中でも大豆タンパクは代替肉原料として欠かすことのできない素材です。ところが大豆タンパクには食肉には無い「ざらざら」や「豆様」の独特な風味があり、それらは代替肉の風味にネガティブな影響を与えます。そこで大豆タンパクを特徴づける香気成分の解明を目的として、香気分析を行いました。

 大豆タンパクから調製した香気濃縮物のGC分析によりmaltol、hexanoic acid、hexanol、acetic acid、benzaldehyde、methylbutanoic acids、pentanoic acid、hexanalなどが高い割合で含まれていることがわかりました。次に香気貢献度の高い成分を絞り込むためAroma Extract Dilution Analysis (AEDA)を実施しました。その結果methylbutanoic acids、hexanoic acid、2-methoxy-4-vinylphenol、2-aminoacetophenoneは豆乳などの大豆加工食品と共通して香気貢献度が高いことがわかりました。その他に (E,E,Z)-2,4,6-nonatrienal、2-phenylethanol、4-methyl-3(E)-hexenoic acid、4-methylphenolは香気貢献度が高いだけでなく、大豆に関連する食品の香気成分として初めて見出されました。

 この研究成果は第64回 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会※で発表しました。なお研究完成度が評価されベストプレゼンテーション賞に選出されました。
 ※2020年10月24~26日に静岡大学(静岡)にて開催予定でしたが、コロナウイルスの影響により講演要旨の提出をもって発表の成立となりました。