官能評価/生理応答計測AVV®(香りの見える化)

呼吸毎に

レトロネーザル・アロマ

知覚強度は変化する

同じ飲食品からの香りであっても、口に入れる前の「食前シーン」でのオルソネーザル・アロマの感じ方は、口に飲食品が入っている「口中シーン」でのレトロネーザル・アロマの感じ方とも、飲み込んだ後の「嚥下後シーン」でのレトロネーザル・アロマの感じ方とも大きく異なります。さらに特定のシーン内でも、シーンの進展に伴い、フレーバー感覚はダイナミックに変化します。本研究ではシーン展開や個々のシーンの進展が推定可能な測定系(呼吸嚥下同時測定系、 Proton Transfer Reaction-Mass Spectrometry (PTR-MS))に、高時間分解能Time Intensity(TI)官能評価法を組合せ、レトロネーザル・アロマ知覚強度のタイムコースを呼吸と連動させて計測しました。

味覚入力強度(味の濃さ)の異なる試料が、レトロネーザル・アロマ知覚の最大強度(香りの強さ)だけでなく、タイムコースにも大きな影響を与えることを明らかにしました。本研究により、1呼吸を時間単位としたレトロネーザル・アロマ知覚や、嚥下後シーンの進展にともなうダイナミックな官能評価値変化が観察可能になりました。

この呼吸計測付き高時間分解能TI官能評価法は、飲料の「香り」、「味」および「食感(のどごし感)」の相互作用のダイナミックな変化の研究に、広く応用可能と考えています。

この研究成果は2018年10月29日~31日に開催された日本味との匂学会第52回大会(会場:ソニックシティ/埼玉県) に続き、2019年9月17日~19日に開催された日本味と匂学会第53回大会(会場:高知市民文化プラザ/高知県)でポスター発表を行いました。本研究は、東京大学と共同で行いました。