フレーバー

酵素を用いた

重要香気成分

rotundoneの

新規合成法を開発

rotundoneは「woody・peppery」といった言葉で表現される特徴的な香気を有し、黒胡椒やシラーワインの重要香気成分として知られています。また、ごく少量の添加で、グレープフルーツやオレンジ、リンゴ、マンゴーといったフルーツフレーバーの香味特性を向上させることが出来る有用な香気化合物でもあります。今回の研究では微生物由来の酵素を用いることで、rotundoneの新規合成法を開発しました。

微生物や動物の体の中では「鉄(Fe)」が様々な場所で働いていますが、その中には酸素を活性化し、化合物を酸化する機能があります。我々はこの鉄の触媒機能に着目し、鉄触媒自体を活性化させる酵素(ferric-chelate reductase)と組み合わせることで、2つの反応が連続的に進行する新たな合成法を見出しました。酵素を用いることで糖などの再生可能なエネルギー源を活用することができ、有害な原料を必要としないクリーンなrotundone合成法となっています。

この研究成果に関しては、下記の学会にて発表を行いました。
・2019年3月24日~27日、日本農芸化学会2019年度大会
 (会場:東京農業大学/東京都)、口頭およびポスター発表
・ 2019年7月7日~11日、BIOTRANS2019
 (会場:Martini Plaza/オランダ フローニンゲン州)、ポスター発表
本研究は、早稲田大学と共同で行いました。

この研究成果はBioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 2019, 83(10), p.1875-1883 に、「Development of a synthesis method for odor sesquiterpenoid, (−)-rotundone, using non-heme Fe2+-chelate catalyst and ferric-chelate reductase」の題名で論文が掲載されました。

図 鉄触媒と活性化酵素(ferric-chelate reductase)を用いたrotundone合成系