官能評価/生理応答計測

産地別紅茶の風味特徴の

マッピングによる把握

紅茶の風味は、茶葉の栽培地の気候条件に左右され、産地(銘柄)により風味に大きな違いがあります。近年では、RTD 飲料や菓子等において、単なる「紅茶味」だけでなく、消費者への訴求点として産地(銘柄)を明示する事例も増えています。一方で、紅茶の生産量は、生産国の情勢や天候に影響を受けるリスクを有しているため、飲料や加工食品においては、本物の紅茶の特徴を再現でき、安定的に茶葉の風味をコントロールできる香料のニーズは高いです。そこで、今回、香料開発への活用を念頭に、専門パネルの官能評価による紅茶の産地別風味特徴の把握を行いました。

この研究成果は 2017 年 11 月 28 日に開催された日本官能評価学会 2017 年度大会(会場:大妻女子大千代田キャンパス/東京)でポスター発表を行いました。

試料は、代表産地の紅茶の中からインド産ダージリン、アッサム、スリランカ産ヌワラエリヤ、ウバ、ディンブラ、ルフナ、キャンディの計7種類の比較を行いました。評価は、社内専門パネルであるフレーバリスト 12 名で実施しました。その結果、ダージリンは、フローラルでマスカテル様の風味が強く、ウバは、清涼感のある風味が強く、ヌワラエリヤは、グリーン、シトラス、ヘイが特徴的な風味であることが分かりました。ディンブラ、キャンディは、突出した風味がなく特徴は比較的近い傾向がみられました。また、インド産のアッサムとスリランカ産のルフナは、栽培される国は違いますが、穀物感、ハネー、甘い香りが特徴であり、いずれも低地高温多湿の地域で栽培される共通点と一致する結果が得られました。各茶葉は、同じ産地でも農園によって風味差があることを確認しています。

得られた官能評価結果と詳細に実施された香気分析データとの関連を見出し、当社の紅茶の産地別の特徴を反映させた香料の開発へ活用しています。

【発表学会】 日本官能評価学会 2017 年度大会(東京)2017 年
【発表タイトル】 官能評価による紅茶の産地別風味特徴マッピング
【発表者】 大森雄一郎、岩本孝浩、明賀博樹、川口賢二、中村哲也、斉藤司
長谷川香料株式会社 総合研究所