フレーバー官能評価/生理応答計測AVV®(香りの見える化)

産地別コーヒーにおける

風味と情緒的なコンセプトの関係性を表現する方法の開発

~風味&情緒をつなぐ~

 近年、シーンや気分・感情あるいはイメージといった情緒的なコンセプトに基づいて開発された商品が増加傾向にあります。

 リラックスしたい時に時に使うシャンプー、休日に飲みたいコーヒーなどを街中やECサイトで見かけたことはないでしょうか。一方で、どのような根拠に基づいてこれらの商品は情緒的なコンセプトを謳っているのだろうと疑問に感じたことはありませんか?

 我々は香りの専門家(専門パネル)による風味評価と生活者(一般パネル)による情緒評価を組み合わせることで、データに基づく情緒的コンセプトと香り・風味の関係性を可視化できる手法を確立しました。

 本研究では「産地別コーヒー」を例に、産地による風味特徴と情緒的なコンセプトの関係性を明らかにすることを目的としました。

 コーヒーの代表的な4つの産地(ブラジル、エチオピア、コロンビア、ガテマラ)の深煎り豆の抽出液を調製し、①専門パネルによる詳細な風味評価と、②一般パネルによる情緒に関する情緒評価を実施しました。①と②の統合解析により、「消費者がほっとすると感じたコーヒーは甘い香りが特徴」など特定の感情やシーンと特定の風味特徴が紐づくことが確認されました。

 このように本手法を用いて、情緒的なコンセプトとマッチする風味を可視化できることから、生活者がコンセプトに共感できる商品開発に大きく貢献できると考えております。

 今後はデモグラフィックデータ別の風味と情緒の関係性の差に注目することで、ターゲット層に合った商品づくりに貢献し、社会のニーズに対応していきたいと考えています。


この研究成果は、2023年11月26日に開催された日本官能評価学会2023年大会(会場:東京農業大学/東京都)において、「産地別コーヒーにおける風味と情緒的なコンセプトの関係性を表現する方法の開発 ~風味&情緒をつなぐ~」の演題にてポスター発表を行い、学会優秀発表賞を受賞しました。