フレーバーフレグランス

ラッカーゼを用いた

有用香気成分rotundoneの合成と単離精製

 rotundoneは「woody・peppery」といった言葉で表現される特徴的な香気を有し、黒胡椒やシラーワインの重要香気成分として知られています。また、ごく少量の添加で、グレープフルーツやオレンジ、リンゴ、マンゴーといったフルーツフレーバーの香味特性を向上させることが出来る有用な香気化合物です。今回の研究では持続可能な天然原料から微生物由来の酵素を用いてrotundoneを合成し、さらにその精製方法を構築することで、香料として利用可能な高純度rotundoneの製法を確立しました。

 持続可能な天然原料としてはα-guaiene(天然におけるrotundoneの前駆体)を含有するパチュリ精油に着目し、そこに酸化酵素の一種であるラッカーゼを作用させてrotundoneを合成しました。精製工程ではHPLC分取や蒸留操作を組み合わせることで、天然原料を起点としてGC純度95%以上の高純度rotundoneを得ることができるようになりました。


【学会発表】

この研究成果は2023年9月28日~29日に開催された第23回生体触媒化学シンポジウム(会場:鹿児島大学稲盛会館/鹿児島県)で口頭およびポスター発表を行いました。本研究は、早稲田大学と共同で行いました。