クロモジの香りの魅力を 分析し再現
和菓子を喫食する際に楊枝として使用されるクロモジ(Lindera umbellata)。
枝に芳香を持つ珍しい植物であり、日本の固有種であることから近年では和ハーブ・和精油の一種としても注目されています。その清々しい香りを再現するため、楊枝とよりフレッシュな香気の新枝※について分析を行いました。 ※採取年に新たに伸びた枝と定義
楊枝は特徴香を有する内樹皮から有機溶媒にて抽出し、新枝は枝の裁断面のヘッドスペース香気を捕集し分析しました(図)。その結果、楊枝はGeranyl acetateを主成分とするウッディフローラル様香気で構成されることがわかりました。さらに、ハーバルスパイシー様の成分も検出されたことから、クロモジ特有の清々しい香気への貢献が示唆されました。一方、新枝はLinaloolを主体とするウッディグリーン様香気であり、より明るくフレッシュな香気特徴にはグリーンシトラス様の成分が寄与していると考えられました。このように楊枝と新枝の特徴成分の違いを把握することで、それぞれの香気再現が可能となりました。
本研究より、ヒノキやクスノキにはない新たな魅力を持つ日本の木の香りをご提供できるものと考えられます。
この研究成果は2023年8月31日~9月1日に開催された第36回におい・かおり環境学会(会場:富士市交流プラザ/静岡県)でポスター発表を行いました。