丸ごと(ホール)で香る
土佐文旦の魅力を分析
丸ごと(ホール)で香る
土佐文旦の魅力を分析
土佐文旦はザボンの仲間で、主に高知県で栽培されています。長年の食経験から、土佐文旦は果実丸ごと(ホール)から良好な香りを発すると感じていました。旬の期間、土佐文旦の果肉の風味が変化しますが、それと共にホールの香りも変化します。今回は旬の期間をEARLY、MIDDLE、LATE の3つに分類し、時期による香りの変化を香気評価と香気分析により可視化しました。EARYLの時期は酸っぱさとグレープフルーツ様のウッディな苦さが中心でしたが、MIDDLEになるとフルーティ感やジューシー感、甘さが強い香りへと変化しました。LATEまで進むとフルーティ感やジューシー感は弱くなりました。全体の香気量はEARLYからMIDDLEにかけて大きく増加し、その後減少しました。MIDDLEの時期に大きく増加し、香気に影響をあたえたのはエチルエステル類と考えられました。
最も魅力的なMIDDLEの時期を詳細に分析した結果、香気貢献度が高い成分はトップからベース、香調がフルーティやシロップ様の多彩なエステル類、スパイシーなeugenol、ウッディなrotundoneやnootkatone、硫黄様の3-methyl-2-butenalや4-mercapto-4-methyl-2-pentanoneでした。これらが合わさることにより、全体として爽やかなシトラスウッディな香りを形成していることがわかりました。
この研究を基に、新たな魅力を持つシトラス香料の提供が可能になったと考えています。
【学会発表】
この研究成果は2022年11月5日~6日に開催された第66回 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会(会場:琉球大学/沖縄県)で「土佐文旦(ホール)の香りに関する研究」の題目で口頭発表を行いました。