フレーバー官能評価/生理応答計測香気分析

ホップに由来するビールの

新規重要香気成分の発見

 近年のクラフトビールブームにより、コンビニエンスストアやスーパーマーケットにも様々な個性的なビールが並ぶようになりました。コロナ禍での「家飲み」需要も成長を後押しし、クラフトビールはもはや定番になりつつあります。

 本研究ではそのクラフトビールに着目し、品種違いのホップを使用したビールの香気成分把握を目的に研究を進めました。社内で試験醸造したホップ品種違いのビールを試料に用い、GCにおいかぎによる香気分析を行った結果、ホップの品種の一つであるソラチエースを使用したビールにおいて特に強く特徴的なwoody香を検知できることがわかりました。このwoody香はこれまで当社にて行った天然物の香気分析では出会ったことのない成分であることが示唆され、さらに他のホップを用いて醸造したビールからも広く検知されることがわかりました。探索を行った結果、このwoody香はビールの新規香気成分2-methyl-4-octanolideであることを解明しました。

 本化合物を発泡酒やビールテイスト飲料に活用することにより、ホップ感と共にビール特有の穀物感や飲みごたえを増強することが可能となりました。

 弊社では、本化合物をビールラクトン®と名づけています。


【学会発表】

この研究成果は2022年8月24日~26日に開催された日本食品科学工学会第69回大会(会場:オンライン開催)にて「ビールの新規重要香気成分の同定および有用性評価」の演題で口頭発表を行いました。

2023年10月3日~6日に開催された13th Wartburg Symposium on Flavor Chemistry and Biology(会場:ドイツ・アイゼナハ)にて「Identification of novel woody aroma compound in hop-derived beers」の演題でポスター発表を行いました。