柑橘精油中の重要香気成分
diethyl mercaptosuccinate
の光学異性体
柑橘精油中の重要香気成分
diethyl mercaptosuccinate
の光学異性体
Diethyl mercaptosuccinateは当社がピンクグレープフルーツなどの柑橘精油より見出したトロピカルフルーツ様の香気をもつ新規重要香気成分です。本化合物は不斉炭素原子を有しており、今後の香料開発に役立てるために光学異性体間の香料成分としての違いを明らかにすることを目的に研究を行いました。
多糖誘導体型キラルカラムを使用したHPLCによって光学分割された本化合物の両光学異性体は、(S)-体がパッションフルーツ様の香気だったのに対して、(R)-体はマンゴー様で特徴的なミーティな香気を有していることが判明しました。(R)-体の方が香気が強く感じられ、実際に(S)-体よりも10倍ほど低い閾値をもっていました。
ピンクグレープフルーツのモデル飲料に添加した際には、(S)-体はアルベド感を増強した一方、(R)-体はトップ立ち・インパクト、トロピカルフルーツ様、ピール感を増強し、異なった添加効果を示しました。
また天然物中の本化合物の光学異性体比は、キラルカラムを使用したGC-MSで測定を行い、ピンクグレープフルーツ精油中には(S) : (R) = 40 : 60と(R)-体が多く存在していることを明らかにしました。
【学会発表】
この研究成果は2022年11月5日-11月7日に開催された第66回 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会(会場:琉球大学/沖縄県)で口頭発表を行い、ベストプレゼンテーション賞に選出されました。