フレーバー香気分析

グレープフルーツ精油より

トロピカルフルーツ様の

新規香気成分を同定

 食品の香気成分分析に関する研究はこれまで多くの報告がなされているものの、いまだ食品の香気中には構造不明な香気成分が多数存在しています。

 本研究では、新規香気成分の探索を目的に、ホワイトグレープフルーツ精油およびピンクグレープフルーツ精油の香気分析を行いました。GC-Oの結果、ピンクグレープフルーツ精油においてのみ未知のトロピカルフルーツ様香気が存在することが分かりました。ピンクグレープフルーツ精油に対し、含硫黄化合物の選択的抽出法を行うことでマススペクトルの取得に成功し、構造解析を行った結果、トロピカルフルーツ様香気成分はdiethyl mercaptosuccinateであると同定しました。 diethyl mercaptosuccinateはこれまで香気成分として報告例のない新規の化合物です。

 香料としての有用性を確認すべく、官能評価を行った結果、ピンクグレープフルーツ飲料への添加によって、「果皮感」「アルベド感」「トップインパクト」「ボディ感」を向上させる効果があることが分かり、香料素材として有用な成分であることが分かりました。


【学会発表】

この研究成果は2022年8月24日~26日に開催された日本食品科学工学会 第69回大会(会場:オンライン開催)にて「グレープフルーツ精油中の新規香気成分の探索」の演題で口頭発表を行いました。