和柑橘の多彩な香りに
関する研究
和柑橘の多彩な香りに
関する研究
日本では、温州みかんや伊予柑、八朔などの国産柑橘(和柑橘)が古くから親しまれてきました。さらに近年では、消費者の好みに合わせた新品種育成が加速しており、市場ではバラエティ豊かな国産柑橘を目にすることができます。その多彩な外観と風味の魅力、「高級」「旬」 「なつかしさ」といったイメージから、国産柑橘は加工食品にも次々と起用されています。
しかしながら、消費者が各品種の香りの特徴を把握・区別して選好することは、未だ難しい状況にあると考えられます。目には見えない「香り」について、コミュニケーションを取ることが難しいためです。
そこで、多種多様な和柑橘の香りの見える化を行うため、官能評価と香気成分分析を実施しました。各品種の旬の時期に合わせ、全30品種の柑橘を評価しました。官能評価の結果、温州みかんに近い風味特徴をもつ品種、オレンジに近い風味特徴をもつ品種、グレープフルーツに近い風味特徴をもつ品種に大別されました。さらに香気成分分析結果と統合解析を行うことで、各品種の特徴を構成する重要香気成分を把握しました。
この取り組みにより、国産柑橘の複雑な香りの違いを可視化することができました。本研究成果は、コミュニケーションへの活用や、みずみずしく天然感にあふれた国産柑橘の香料開発に応用されています。