フレーバーフレグランス

天然型ワインラクトンの簡便な合成法開発

ワインラクトンはワインのみならずオレンジ果汁やグレープフルーツ果汁の重要香気成分としても知られている他、コーヒー等の嗜好飲料の後味改善にも有用な香料物質です。ワインラクトンには8種の立体異性体が存在しますが、そのうち天然型とされる1つの立体異性体だけが非常に強い香気を持っています。

この研究では原料となる光学活性なカルボン酸を2種類の方法で調製し、分子内Diels-Alder反応を鍵反応として、短い合成工程で天然型のワインラクトンを優先的に合成できることを見出しました。

この研究成果はBioscience, Biotechnology, and Biochemistry、2021, 85(6), p.1390-1394 に、「Concise enantioselective synthesis of wine lactone via intramolecular Diels–Alder reaction」の題名で論文が掲載されました。本研究は、東京大学と共同で行いました。