フレーバー官能評価/生理応答計測香気分析

ミント精油より食品の

「濃厚感」に寄与する有用香気成分を同定

 ミント精油は、食品や香粧品など幅広い分野で利用されており、これまでに多くの香気分析が行われてきましたが、未だにその複雑な香気の全容は明らかになっていません。
 本研究では、ミント精油中に含まれる新規の有用香気成分の探索を目的に、ペパーミント精油およびスペアミント精油の香気分析を行いました。GC-Oの結果、2種類のミント精油に共通する“minty, phenolic”な香気の存在を確認しました。スペアミント精油に対し、酸塩基分画による濃縮を行うことで、マススペクトルを取得することができ、構造解析の結果、“minty, phenolic” を有する香気成分は2-methoxy-5-vinylphenolであると同定しました。
 香料成分としての有用性を確認するため、官能評価を行った結果、ミント精油への添加により、「甘さ」「清涼感」が向上し、「苦さ」を低減する効果を見いだしました。また、バニラエキス含有乳飲料や紅茶、コーヒーへの添加により、それぞれの食品の「濃厚感」に関連する項目を増強する効果が確認されました。以上の結果から、 2-methoxy-5-vinylphenolが様々な食品の風味に寄与する有用な成分であることがわかりました。


【学会発表】
本研究は下記の学会にて発表を行いました。
・日本食品科学工学会 第70回記念大会(日時:2023年8月24日~26日、会場:京都女子大学/京都、

 口頭発表)
・13th Wartburg Symposium on Flavor Chemistry and Biology(日時:2023年10月3日~6日、

 会場:ドイツ・アイゼナハ、ポスター発表)