バラの
重要香気成分である
DAMASCENOLIDE®の
類縁体合成と香気特性
(第3報)
DAMASCENOLIDE® [化合物1, 4-(4-methylpent-3-en-1-yl)furan-2(5H)-one] はバラの重要香気成分として見出されたシトラス様香気を有する化合物です。化合物1は「バラに天然らしさを付与する効果」などを有する有用な香料化合物であることがわかっていますが、我々のグループではより優れた新規香料化合物の開発を目的として化合物1の類縁体に関する研究を行っています。これまでに化合物1の類縁体を計40種合成しましたが、本学会ではそのうち9種の類縁体 (化合物2~10) の合成方法および香気特性について発表しました。図に示すように、化合物2~10はそれぞれ特徴的な香気を有していることがわかりました。現在、香料としての有用性を検証している段階ですが、これらの使用により様々な製品の嗜好性が高まることが期待されます。
【学会発表】
この研究成果は2022年3月15日～18日に開催された日本農芸化学会2022年度大会（オンライン開催）で「バラの重要香気成分であるDAMASCENOLIDEの類縁体合成と香気特性（第3報）」の題名で口頭発表を行い、2022年度大会トピックス賞を受賞しました。本研究は、東京農業大学分子設計学研究室と共同で行いました。
【論文発表】
この研究成果は下記の論文に掲載されました。
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 2021, 85(4), 756-764
「Studies on analogs of DAMASCENOLIDETM: Part 3. Synthesis and odor evaluation of dimethylated, cyclopropanated, and other analogs of DAMASCENOLIDETM」
https://doi.org/10.1093/bbb/zbaa103
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 2021, 85(6), 1357-1363
「Studies on analogs of DAMASCENOLIDETM: Part 4. Synthesis and odor evaluation of sulfur-containing analogs of DAMASCENOLIDETM」